そうだったのかアメリカ



そうだったのか!アメリカ (集英社文庫)

そうだったのか!アメリカ (集英社文庫)

読了。日本的感覚で他の国を見ると見誤る。

一番気づかされたのは、アメリカには50州あるけど、

州とは日本の都道府県の意味合いとは違うということ。

アメリカは植民者たちが、それぞれ植民地を作り、それぞれに発展をし、

それぞれに憲法をもち、それぞれに独立してきた。

それぞれが国家(州)で、それが連合して合衆国となった。

だから州の言い分は尊重される仕組みになっている。

州によって、消費税率が違ったり、教育制度が違うのも、州の制度を尊重しているから。

アメリカは広過ぎるからかな。

国家という1つの同じ仕切りだけで足並み揃えさせるには、無理があるのだと思う。

市民が自分たちの手で国(州)を作ってきた。

学校にも病院にも多くのボランティアがいる。

保安官というのは、市民の選挙で選ばれる。多分昔は射撃の名手とかが選ばれたのでしょうね。

そして州警察があり、その上に連邦の警察としてFBIがある。

州には州の軍隊が、連邦には連邦の軍隊がある。

アメリカは、まずは『自分たちの手』でが、根本にあるのだと思う。

その『自分たちの手』のひとつが、自己防衛で銃の所持ということにもなるのかもしれないけど。

自分たちで出来ることを自分たちがまずやって、不足分を国に補ってもらう。

国に仕切られるより、自分たち主体の考えなのかもしれない。

アメリカは横社会ですね。

日本はヤクザ社会の縦社会。なのでまず『国ありき』から始まる。

司馬遼太郎ベトナムの話の中でもあったけど、

村落は認識出来ても、国家となると、認識しずらい民族があるという。

村落レベルなら顔がわかる。

でも国家となると、見えないものだからわからない。

国家への忠誠心をどう抱いていいのかわからない。

そういえば、

司馬遼太郎は、アジアは共産主義の方が合っているとも書いていたように思う。

えっ!って思ったけど、

確かに

TPPも最初は、小国同士でお互いに足りない物資を補いあいましょう。

『うちのお米とお宅の小麦を融通しあいましょう』的なものだったと思う。

これはどちらかというと、助け合いの意味合いに受け取れる。

それがアメリカが加入したことで、まるっきり様相が変わってしまった。

資源の乏しい国同士のやり取りに、大国が入ったことで均衡が崩れてしまい、

もはや、アメリカの意のままの商談に成り果てている。

藤原正彦が『国家の品格』の中でこんなことを書いている


父は、「弱い者を救う時には力を用いても良い」とはっきり言いました。

ただし、五つの禁じ手がある。

一つ、大きい者が小さい者をぶん殴っちゃいかん。

二つ、大勢で一人をやっつけちゃいかん。

三つ、男が女をぶん殴っちゃいかん。

四つ、武器を手にしてはいかん。

五つ、相手が泣いたり謝ったりしたら、すぐにやめなくてはいかん。

「この五つは絶対に守れ」と言われました。

しかも、父の教えが非常に良かったと思うのは、「それには何の理由もない」と認めていたことです。

「卑怯だから」でおしまいです。

今のTPPは在り方は卑怯です。

先にいた者が商談のルールを決め、そのルールは公表されない。

「加入したかったら、すればいい。

でも加入してから、やっぱりやめると言うなら、多大な罰金をとりますよ。」と。

後から入ったものに圧倒的に不利なルール。

こんなルールでも日本はその席に望むつもりでいるらしい。

小国同士が助け合う形で始まったはずなのに、こんなもん、弱い者いじめでしかない。

司馬遼太郎は、そういう意味で

アジアは、欧米の徹底した資本主義に巻き込まれたら国家の安定が難しくなる。

そういうことを言っていたのだと思う。

周囲を気にせず、貧しければ、貧しいなりに独自に暮らしていく。

それが合っているのではないかと。

これは司馬遼太郎が50年くらい前に書かれたものだけど、TPPに直面した今、

的を得ているように思う。

資本主義は淘汰の世界。

紋切り型に資本主義を貫けば、いずれ行き詰まる。

貧乏は貧乏なりの暮らし方が賢明だ。ということ。


テレビで政治家の討論を聞いていたら、シリアにとにかく民主主義をと、言っている。

日本は江戸から明治だから民主主義へうまく転換出来た。

あれが平安から明治だったら、どうなった?

イスラム圏が平安時代の人間というのではない。

ただ、物事には流れがある。その国の流れ。

いきなり水を下から上へ流そうとしても自然の流れには逆らえない。

自分たちの民主主義を盲目的に崇拝し、他にも押し付けたら、それだって原理主義

江戸時代の日本人の識字率は世界一。と言われている。

民主主義には『民』の素地が必要。

アラブには社会主義と民主主義がどんなことか知らない人たちもいっぱいいると思う。

武器をもって戦うことが民の総意ならそれが民主主義になってしまう。

頭の中を転換させることは難しい。信念が強ければ強いほど難しいな。