割り切れないものを妥協の上、割る
ドレミファソラシドはなんでドレミファソラシドなの?の続き。
こんな理屈は、自分の中で弊害が起きなければ特に知る必要はない。
ピアノを習っている友達と音の話をしていて、
彼女の頭の中が、ピアノを中心に音を考えてしまっているから、こんがらがってるんだなーということがあったから。
普段当たり前のようにいうドレミファソラシドだけど、
実際の音にはドとレの間にだって無限に音程はある。
ピアノというデジタル化した楽器だからド・ド♯・レしかないだけ。
調律した音程以外は演奏者は出せない。
音のデジタル化は、無限の音をドやレという形に切り取ったもの。
そう考えると、
小さい頃からピアノなどデジタル化された音で慣らされたり、声楽をピアノ伴奏で歌うのは、
人が本来心地良いと感じる音程感覚に固定観念を植え付けてしまっているのかもしれない。
無限の音の中から心地良い響きの音を取り出したのがピタゴラス音律。
ド(ド♯)レ(レ♯)ミファ(ファ♯)ソ(ソ♯)ラ(ラ♯)シドの12音。
ただ、
このピタゴラス音律は、響きのいい3倍波を重ねていくのだけど、
基本のドとオクターブ違いのドに微妙にズレが生じた。
お互いの響きは良いのだけど、ドとオクターブ上のドが違ったら不都合が起きる。
ふむふむふむふむ・・・
ん?!
ここで思い浮かぶのが、暦。
1年は365日。でも、実は若干の誤差があって、それは閏年という形で修正される。
修正はされていても、それでも西暦4882年には1日の誤差が生じてしまう。
まぁそれくらいなら便宜上許容範囲にするしかない。ということなのでしょうね。
それと、ピタゴラス音律のイメージが似ている。
暦は1年12ヶ月。
ピタゴラス音律も1オクターブ12音階。
この一致は、
多分どちらも、数学で成り立っているから、
というより、世の中はすべて数学で出来ているから
まったく違うものであっても、法則的には同じなのかな?って思います。
1年に、365日の年と366日の年があるように、
ピタゴラス音律も、同じ半音の中でも長短がある。
これを1オクターブに12音、全部平均にならしてしまえ。
と、したのが現在使われている『12平均律』
1年を365日と366日でなく、
1年を365.2422日にしてみました♪のような感じかな。(実際は違うけど)
これで、ドと1オクターブ上のドは同じ音になってめでたし♪めでたし♪
12だから割り切れたのでしょうね。解決はついた。
なのですが、
『ピタゴラス音律』は音の響きを重視して3倍波を重ねたのですが、
『平均律』は合理化するために生み出したもので、合理化には必ず弊害が伴う。
平均律は音の協和という点で、実は妥協をしている。
協和は劣るけど、
ピタゴラス音律はデジタルな楽器では、実用には向かない。
やはり多少音の濁りはあるけど、平均律の方が使い勝手よいよね♪
というような感じで普及したのでしょうね。
で、
ここで色んなこと吹っ飛ばして言っちゃうと、
現在一般的に使われている『平均律』というのは、和音の響きとしては美しさに欠ける。
合唱のような人の声(アナログ)の和音は、『純正律』の方が美しく響く。
でもデジタルな楽器(主に鍵盤楽器など)には、平均律しか適用出来ない。
という複雑な現実がある・・・
微々たる差ではあっても、音を大切にしている人にとっては、大きな問題なのだと思います。
ピタゴラスは何故問題にしなかったかというと、
ピタゴラスの時代(紀元前)にはデジタルな楽器は無かったから。
なるほど(笑)
音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか (ブルーバックス)
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この本を読んでなるほどと思ったのは、
音程の数え方にはゼロの概念がないということ。
わぁ!ホントそうだ・・・
差が無い同音同士でも1度ということを当然の決まりごとにしている。
だからややこしい表記になってしまうと。
そか。数学のゼロの概念より前から音楽はあったってことなのかな。
それと、
数学で対数の概念が生まれる前に、ピアノは対数が取り入れられ作られてるということ。
音楽は数学であり、物理であり、それなのに感情に語りかけてくる。
時には歓びになり、時には涙して。
数学も物理も無機質なものではないってことなのかな。
数学は情緒です。と言ってた数学者岡潔の言葉を思い出します。
この本、途中までは楽勝で読んでいたのだけど、
段々関数?数式など出て来て、そのうち物理的なグラフやら、
そんな周波数の話ばかりなってきたので、今は息も絶え絶えに読んでます(笑)
でも面白い。かなり面白い。
女性でも、数学者で音楽家の人が書いた本があったはずだけど誰だったかな。