妄想世界のモラル



死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)


今でも紙幣を偽造する人間はいるが、紙幣が登場したばかりの時代の人々にとって、

紙でお金が作れてしまうという魅力に抵抗するのは、

現代人よりもはるかに難しいことであったろう。

なるほど。

今、1万円札を見て「この1万円札に1万円の価値があるのだろうか。。。。。」と考える人はいない。

むしろ、1万円の基準は1万円札を基準に考える。

フランス革命以前は、お金はすべて金属で作られ同等の価値があった。

1万円の価値のモノと、1万円の価値のモノを交換する売買のシステムが、

ある日突然、1万円のモノと20円の価値(紙幣の原価)のモノを交換するシステムになった。

20円のモノを1万円に考えるなどということは、

実は妄想の世界なのだから、妄想に付き合うのはバカバカしい・・・・・

と、考えてしまう人がいるのもわからなくない。

偽札は罪とわかっていても、偽札作りのモラルが今よりも持ちづらかったのだと思う。

この時代、偽札作りは国家への反逆で反革命者として死刑になる。

それでも偽札作りは多かった。

この時代、国がバカみたいに紙幣を刷ったのも同じことで、

原価20円の紙幣に対し役人も無節操だったからではないかと思う。

1万円札が半年もしないで100円の価値も無くなる。

そんな経済状況でも、役人は尚増刷を重ね、ついには紙幣の版を捨てた。


今、自民党が日銀法の改正を言い出しているけど、

日銀法が改正されて、政府が日銀に対して決定権などもったら、

とても怖い気がする。

たしかに、アメリカのデフレ脱却はお金を刷ったからで、

日本はそれをしなかったから、いつまでも経済が上向きにならなかったかもしれない。

でも、

お金を刷るか刷らないか、

今のような信頼度ゼロの政治家たちに決定権を持たせるのは嫌だ。

インフレ急上昇は、取り返しのつかないことになる。

今の政治家をみていると、時勢に流される。

日銀は渋いけど、お財布を握っている人間は渋くて当然。

日本の円高は、そういう日銀の渋さによる日本の信頼度で、円高=悪ではない。

政府と日銀が協力して進めていくのが妥当で、決定権はあくまで日銀のエキスパートが持ち、

日銀の独立性を失わせてはいけないと思う。

今の日本は、勢いで誰でもが政権をとれる、その勢いで輪転機まで回してしまうような、

そういう体勢を作ってしまうのは怖い。


マリーアントワネットにも愛人がいたが、

当時のフランスは、妻の恋愛も自由で、

それに嫉妬する男性は『育ちが悪い』と言われた。

ナポレンオンも妻の浮気にだいぶ苦労したようだけど、

これがお国柄というものか。

世界で、時代で、モラルというのは、違うし、自分自身も変わっていく。

モラルが違う者同士が仲良くやっていこうというのだから、

グローバル化するほど社会は困難になっていくのは当然で、

人間同士、自分の生まれ育ちからの見解では理解出来ない部分があることを

認めていかなければいけないなぁと思う。