ギリシア人の愛と死



トロイア戦争で、ギリシャは勝ち、トロイアは滅びた。

そしてトロイアの末裔がローマ人となり、ローマ帝国ギリシャを滅ぼす。

この発端となったヘラ、アテナ、アプロディティの三女神の美の争いは今も続いているのだろうか。

そのすべてがゼウスのはかりごと。


ギリシア人の愛と死 (講談社文庫)

ギリシア人の愛と死 (講談社文庫)

トロイア戦争とオデュッセウスの物語。

トロイの映画をみて、この本、久ぶりに引っ張り出してきたけど

この本を購入した時は、ギリシャ神話と知らず「愛と死」に惹かれて読んだ記憶がある。


オデュッセウス(智将)はトロイの木馬の発案者で、

トロイア戦争が終わって、船で凱旋帰国する途中神々の怒りをかい、故郷に帰るのに10年を費やした。

その冒険物語。

子供の頃に読めば、かなり面白いと思う。

森の魔女が出てきたり、風をとじこめた袋をもらったり、地獄に行ったり、

1つ目の巨人を退治したり、と、おとぎ話の世界。

で、その1つ目の巨人が海の神ポセイドンの子だったから、さぁ大変!ポセイドン激怒!海は荒れる!

こういう話は、子供なら、のめり込めるんだろうけど、

すでに夢を失った大人には(笑)

なんで海の神の子供が1つ目の巨人なのさ?!

などと理屈を言い出したら、物語なんて楽しめない(笑)


ここに、ナウシカアが出てくる。

宮崎駿ギリシャ神話の影響受けてる。

当たり前か。

オデュッセウスは美しくて、勇敢な王女ナウシカアに助けられる。

「あなたはとても心優しい方だ。やがてあなたに相応しい男性が見つかりますよう、

私も神々にお祈りしましょう。何と言っても、人間の幸福は、夫婦が心を合わせる生活より勝るものはありませんから。」

ホントだよ(涙)

そして、それが何故だか途方もなく難しい。


最後、オデュッセウスはナウシカアの国の人たち助けられ、船で無事20年ぶりの故郷にたどり着く。

船乗りたちは、心地良い眠りにいるオデュッセウスと贈り物を、そっと浜に揚げ、

そのまま立ち去って行った。

黙って立ち去るとこが美しいな〜

めでたし!めでたし!

なら良いのだけど・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

オデュッセウスを助けたこの船乗りたちに、ポセイドンは八つ当たりし、海中の岩に変えてしまった。

神は、いい人にいい人生を与えてくれるわけじゃない。


(なんで親切な人が殺されちゃうの?)

日本ではこれをどのように子供に話すんだろう。

ギリシャではきっと、

神々はきまぐれだからね。と、ありのまま諭すと思う。

神様のすることは人間の智恵でははかりきれない。そして神の怒りは怖い。


この本の中で曽野綾子

親切は自分が心地良いからすればよい。それで不運に見舞われても嘆いてはならない。

と、述べてます。

私は10代から曽野綾子のこういう言葉に接してきて、それを大きな戒めとして、

随分助けられてきた。

こういう突き放したものの言い方が好き。

日本的発想は、正しく生きれば、いい結果がついてくる。だから頑張りなさい。

でも、

正しく生きようと、適当に生きようと、未来のことはわからない。

その時の心の在りようだけが確かなもの。

そういうと、

じゃー悪いことしたっていいんじゃん♪ってなると思うけど、

悪いことしたかったらしたらいいの基本的に。自分でそれで心が満足するなら。

極端な話、人を殺したっていい。それでも自分が心の平和や安心を保てるならば。

自分の心が決めること。

罪は自分に対して犯すものだと2000年前からマルクス・アウレーリウスも言っている。


オデュッセウスが20年ぶりに家に着くと門の前に老犬がいた。

オデュッセウスは国王で、でも誰もオデュッセウスと気付かない中、この老犬だけが主人にすぐ気付き

一声鳴いて息絶えた。

人間は裏切っても、犬は主人を裏切らない。

人間より卑怯な動物はいないのです。

オデュッセウスは20年ぶりに愛する妻の元へ帰った。

妻もひたすら愛する夫を待っていた。


でも

他の書物みると・・・

この2人その後離婚したらしい(笑)