記憶力?

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)/池谷 裕二
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この本、面白かった。

「今読んでいる本を置いてでも、この本を読んだ方がいい。」

とある人のコメントを見て、興味をもってすぐネット注文。

ただ、10年以上も前に出版された本で、脳科学の分野の10年といったら、すでに時代遅れで


今から読むなら、この著者の最新のものを読んだ方が良いのでしょうね。

でも価値ある一冊でした。

私は、記憶力が相当悪い。

学生時代は、劣等感を憶えるほどには悪くなかったと思うのだけど、

大人になって、かなり悲惨。

今では、買い物行くにも、買うべきものを数で必ず確認して、

トマト、きゅうり、トイレットペーパー、の3つ。

3という数字だけシッカと頭に入れて、

(数字で憶えないと、忘れたことさえ把握できなくなる)

あとは、わからなくなったら、なったで、仕方ないかと、

命にかかわるものなら、買い忘れないでしょ・・・と楽観的。

メモをもつと、モノを記憶すること、思い出すこと、を脳がしなくなるので、私は良くないと思うのです。

だから憶える努力はして、

忘れたら、また買いに行くか、あきらめればいい。

字が出来てから、人間の記憶力が落ちた・・・というのは、わかる気がします。

さて、この本ですが。

何もかも面白い。

興味をひくことが記憶に繋がることを執筆している筆者だから面白い。

人間の細胞は再生機能がついいる。

多少の傷なら、放っておいても自然治癒する。新しい細胞に切り替わっていく。

でも、脳(神経細胞)は、再生機能がついてない。

神経細胞は、毎日死滅する一方で増殖することはない。

残念だなーと思うのですが、

ここが大事なことで、

神経細胞は、人の考えや行動、性格や嗜好を司ってるので

もし、神経細胞が毎日新しくなっていってしまったら

『昨日の私』と『今日の私』が、違ってしまって、『私』が無くなってしまう。

これは大変なことで、

毎日記憶がなくなっていったとしたら、大混乱。

自分の親もわからなければ、自分の家もわからない。

その前に私が誰かもわからない。

人間というのは、知れば知るほど、見事な調和で出来ているなーと、ホレボレしてしまいます。

ちゃんと、なにもかも合点がいくようになってる。

神経細胞が再生出来ない事で、私は私であることを認識できる。社会生活が営める。

人間は、すべて美しい数式(法則)で出来ているような気がします。

宇宙そのものが、きっとそうなのでしょうね。

そして、

ここから、またさらなる驚きで、

その脳(神経細胞)の中でも(海馬)という『記憶』を司る部分、

そこだけは、増殖することが発見されたというのですから、なんという恵でしょう。

それも年齢に関係無く、増殖させることが出来る。

鍛えれば記憶力は磨かれる。ただただ・・・ありがたいと思うほかないです。

人間の身体は、記憶も、すべてが化学反応ということを初めて知りました。

えーーーーーーって感じ。

もっと情緒あるものかと、もっと人間らしいものかと思っていたのに、

考えてみれば、原子の集まりなのですから、常に化学反応なのでしょうね。

細胞の化学反応が、組織化され、ひとつの社会を作っている。

人間の身体というのは、洗練された社会なのかも。


そして合理的に出来ていると思うのは、

脳(神経細胞)は鍛えていないとリストラされる。省エネ対策。

筋肉と同じで、活躍しないと、リストラ(死滅)されていく。

また、

ゲンコツで頭をコツンコツンとしても神経細胞は死滅するそうなので、冗談でも頭を叩くのはやめましょう。

それだけ繊細な部分ということに思います。

あとは、脳を鍛えて、死滅のスピード<増殖のスピード

おっと・・・これは贅沢です。いけません。いけません。

欲をかいてはいけません。余計なストレスなるだけです。

死滅のスピード=増殖のスピード

私はこれくらいでいい。

私の年齢になると、無理をしたって仕様がないです。

もう残りの人生の方が少ないのですから、今からシンドイ思いをして頭脳明晰になったところで、

待ってるのは死ですから、

自然な老化に身を委ねなければ、死ぬまでにヘトヘトに疲れてしまいます。

本当にね、

記憶力が良くなるとか、ならないとかより、

人間の細胞の、仕組みの理路整然とした美しさに出会えたことが私には感激です。

細胞の1つ1つの繋がりが、見事な調和で、

たとえ、毎日記憶が死滅していくとしても、

元々が死滅するように出来ているのも、意味があることなのです。

記憶の装置は、だいたい3歳頃出来上がるそうです。

だから、それまでの記憶が無い。

私、これを読んでなるほどと思いました。

三島由紀夫は生まれた時の記憶があるというのを思い出しました。

人は、嘘だというけど

もしかしたら、三島由紀夫は、生まれた時には記憶装置がすでに出来上がっていたのかもしれない。

そういう人がいたって不思議はないでしょ。

憶えているかどうかより、記憶装置が出来てるか出来てないかで考えれば、

三島由紀夫の言うこともありえるわけで。

人が「おや?なんか変なこと言ってるぞ」と思った時には、

単なる『デマカセ』と否定するより、私は固定観念という自分の檻から出る方を選んでます。

ここに、とっても大切なことが書いてあります。

ネズミね、ネズミでの記憶の実験。

『親に毛づくろいしてもらうなど、愛情を一身に受けて育ったネズミの子は、海馬がより豊かに成熟し、

記憶力のよいネズミに育つ。』

『妊娠中のネズミに精神的なストレスを与えると、

生まれてくる子供の顆粒細胞の増殖率が悪くなってしまう。

しかも気の毒なことに、この子ネズミは大人になってからも、ふつうのネズミより海馬のはたらきが弱く、

一生、記憶力が劣ったままなのです。』

そしてこれもネズミの実験からで、

『記憶力の高いネズミは、ストレスを解消できる。』

日常のストレスは慣れてしまえばストレスではなくなるのですから、脳の記憶の一種で、

早く慣れてしまわなければ、記憶力も損なわれてしまうという相互の関係のようです。

1日ゴロゴロしてると、記憶力が低下する、そうすると、ストレスを受けやすくなる、

そして記憶力が低下する。の、悪循環。

なので、お休みの日も、脳に多少の刺激はあった方がよいのだと思います。

記憶力が歳と共に衰えると感じるのは、努力を怠ってるだけのようです。

学生時代、自分がどれほど努力と忍耐をしてたかを忘れ、老化を嘆いている

このマイナス思考が愚かなことだそうです。

私は芸能人の名前がさっぱりわかりません。

はなっから、つまらないと思って興味がないから、憶えないってことのようです。

記憶は感情が伴えば自然とついてくるので、

私がTVを興味津々でみていれば、芸能人の好き嫌いがあるくらい感情が伴えば、

憶えられるってことですね。

どうでもいい存在だからまるっきり憶えない。これじゃダメですね。

毎日を常に ワォ\(゜□゜)/ と、感動であふれさせておければいいのですが、

年齢と共に、生きることに慣れてきて、好奇心、探求心を失うことが記憶の低下につながる。

毎日がつまらない・・・

なんてなったら、あっというまに記憶力の低下に繋がってしまう。

記憶の容量は年齢と共に逆に増えていくようですが、

九九のように、まる暗記で憶える記憶力は衰えて

逆に理論立てて考えて憶える機能は良くなっていくようです。

なので、まずはきちんと真から理解をすること。理解をするというのは消化をすること。

こうして、読んだものをブログにまとめるのは、結構大変です。私にとって苦労です。

でも消化するには、書いて確認することが一番よいように思います。確認作業と思っています。