地図で読む世界情勢


久しぶりにブックオフに行った。

ブックオフも本のスペースが減り、CD、DVD、ゲームのコーナーが広くなっていた。

どこもそう。

刺激あるものにひかれるのは、当然とは思うけど、

本の深みもいいと思うんだけどなー。


2007年発行なので情報としては古いけど、定価1600円が500円なので迷わず買い。

文章に地図が添えられているのでなく、メインが地図。

地理不案内な私には、カラー満載で、ビジュアルから入れるのは助かります。

この手のものとして1600円でも安い方に思う。

クルド人問題にしても、いったいどの辺りで、どうなってるの?

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クルド人は中東に住む民族で、

これまでこの民族と領土と国家が一致したことは一度もない。

日本人は、日本人という民族が

国を追われたり、分断されたり、日本語の使用、教育を禁止されたり、

民族として存在を否定されたりしたことが無いから

クルド人問題に関心が及びづらいのはあると思うけど、

クルド人が推定2500万人〜3000万人として

それだけの人たちが今も国をもたず、周辺国々に離散し、自治や独立を求めている。

このクルド人の住むクルディスタンという地域がどの国のどの辺りに位置しているか、

こうして地図と色の視覚で確認出来ると、把握しやすくなる。

教育を制限され、就職も難しいクルド人がその辺にたむろし、

そしてゲリラにスカウト?リクルート?され、頼るものが武力となっていく様は、誰だって想像出来る。

それをもって、クルド人を非難するだけでは、問題は解決しない。

シリアの内戦では、反政府勢力として、今まで迫害されてきたクルド人が加わり、

同じく反政府軍アルカイダと衝突しているのだから、

{政府軍vs(反政府軍vs反政府軍)}の様相で、

また難民となっている多くもクルド人であることを考えると、着陸地点がまったく見えない。


この本は著者が日本人では無い。

フランスの地政学研究所が作りフランスでベストセラーとなったらしい。

だから視点も日本からとはまた違うかもしれないので興味シンシンです。

この本のまえがきにも魅了されます。


知性とは、識別し、解き明かすことである。

毎日のようにメディアから様々な情報が入ってくる。

でも、あまりに解説をしてくれすぎて、わたし自らが考えるということを忘れる。

わたしが考えなくても、すべて説明済みになってしまっている。

でもそれでは、自分の頭を使うことも、頭をもってることも忘れてしまう。

間違っていてもいい。日々変わってもいい。

自分で考え、解いていくことが重要に思う。

インプットで満足することに慣れすぎてしまっている。


私たちの認識やイメージは、どの場所にいるか、どの瞬間にいるかによって左右される。

したがって分析するには、相手の立場に立ち、歴史的、地理的、政治的に相手の理性の働きや論理を理解する必要がある


また冷戦の戦略的な局面も地図の中心を北極に置いてみないと理解できない。

そうすると、アメリカ合衆国と旧ソヴィエト連邦が地理的に直接の隣国であることが一日でわかるだろう。


領土問題でも、エネルギーの供給や開発方法でも、

一国の決定権者は、国益を優先しながらも、時に国益と相容れない論理との板ばさみになって

判断を下さなければならないことがある。

それゆえ、いくつかある選択肢を分析するには、評論家やジャーナリストの立場ではなく、

彼ら決定権者の立場に立ってみることが必要になる。

問題がはっきりし、分析するにも役立つだろう。

決定する立場のほうが明らかに難しいのだ。

西アフリカのギニア湾で、沿岸諸国がウミガメの保護か、石油開発かで決断を迫られている

複雑な政治問題は、まさにこのケースである。


事ここに至っても、私たちは略奪者のような生活様式をいっこうに変える気配がない。

出口の見えない泥沼にあえぐ国々への無関心を貫き、いまだに全世界的な価値観ばかり構築しようとしている。

それどころか、私たちも先輩たちと同じように「唯一の正しさ」しかない体制を再びつくり、

押しつけようとしている。

それが新たな敵をつくりだし、あるいはまだ萌芽状態でしかないものを敵と思わせているのだが。

フランスは自由の国です。

自由はよいのだけど、

日本語で言うところの自由と博愛とはまた違うように思います。

だから、帝国主義で世界を植民地化していった過去も悪いと思っていない。

帝国主義もまた自由だからです。

そのフランス人が書いたものだから、余計に興味あります。