フランス革命俯瞰


フランス革命を人間という観点からパパっと俯瞰してみると、

社会とは、人間の姿そのものに思う。

やじろべぇでもモビールでも良いのだけど、

左端に傾いて落ちれば地獄で、

右端に傾いて落ちても地獄で、

両サイドに落ちないように、バランスをとっている。

それが人間であり、社会であり、

社会とは、どこかに理想があるのではなく、

そういう形で存在しているのではないかと感じた。

真ん中で揺らぐことなく固定されれば良いのだけど、

『時』という流れがある以上、固定は有り得ない。

左端に傾いて落ちないように踏ん張ると、

気づかぬうちに、今度は右に傾いてしまう。

何故だか知らないけど、人はそういう極端な性質をもっている。

民主党にドドドーっと風向きがいったと思うと、

次の瞬間、自民党にドドドーっと風が吹く。

タバコを一週間に1本づつ減らして最終的に禁煙するようにすれば、まったく負担なく

禁煙出来そうに思うけど、実際そんな禁煙が出来る人はほとんどいない。

吸うかやめるか、どちらかで、計算上可能なことでも、実行するとなると不可能だ。

数学の世界にこんなおかしなことはないのだけど、現実はそうなってしまう。

男女が友達でいられないのも、中途半端な関係を保つことが出来ないからだし、

拒食症の薬が出来ないのも、

余計に食べてしまうか、食べないか、この極端さが人間の原理だからかもしれない。

原理だとすると、そこにもちゃんとワケがあるのだとは思うけど。

やじろうべぇ眺めて、物理的な視点から考えたらいいのかもしれない。


フランス革命は、その典型に思う。

ブレの幅が大きくて、常に右端から左端への10年。

ドドドドー、ドドドドー。果てしなく揺さぶられ続ける。

バランスを取るためには、そうならざるおえない性質が人間にも社会にもある。

産業革命でヨーロッパ全体が大きく揺れ動いていることで、

フランス単体で安定しようにも寄せては返す波が大きく、人びとはその波に翻弄されていった。

その中で、命を賭して自分たちが作り出した波、周辺国から押し寄せる波と闘い続けたのだと思う。

今になってみれば、その中の多くが過ちだったとしても、

それはすべてやってみての結果で、やる前から失敗とわかってやったことではない。

今の社会がやってることなど、

フランス革命の10年で、すべてやってしまったことのように思う。

民主主義も共産主義も、経済統制も、自由経済も、宗教革命もテロも戦争も、

あらゆる試行と錯誤を繰り返し、

それでも市民はパン1つ手にすることも困難で。

そこがどうもわからない。

王政を倒し、多くの血が流れ、これほどのことを試みて、

それでもパンさえまともに流通しないフランス革命とは、いったいなんなんだろう。

フランス革命とは、市民がパンを手にするための革命、闘争では無かった・・・とも思える。


ルソーに傾倒し「権利のうちの第一のものは、生存する権利である。」

そう語っていた革命指導者ロベスピエールジャコバン派)。

私はこの当たり前だけど、これ以上ない重く深い言葉にいたく感動したのに、

そのロベスピエールが処刑した人数はパリだけでも1500名にのぼる。

何がどうなってるのやら・・・・・


かれは自分の正義を確信し、自己の外にあるものにたいして無関心であった。

日常性を脱却しており、女も金銭も快楽も求めず、人間に興味をもたなかった。

細工師の一室に下宿し、質素な生活を送った。

こうした生き方は、いかに個人的には立派なものであるにせよ、

政治の場では窮屈な、規則づくめの厳格主義を帰結せずにはおかなかった。

人びとの自発性や創意はおしつぶされ、その結果は、不動と見えた強大な権力が急な坂道を

ころがるように瓦解することを避けることができない。

厳格主義の個人統治がもつ宿命というべきものだろう。

ロベスピエールが自分の快楽のために1500人もの人間を処刑したのではないことはわかるが

自分を絶対視する人間が、自分の理想の社会を作るために異分子の存在を認めないと、

このようなことになる。

そして、世論は傾き今度は、ジャコバン派が処刑の対象となり、ロベスピエールが死刑となった。

こんなことを続けていたら政治家など1人もいなくなってしまう。

いや、王政に於いて元から政治家などいなかったのだから、こうなってしまったのかもしれない。

長く続く左右の揺り返しを抑えるには、力による支配、軍隊しかなかったのか、

そこに現れたのがナポレオンで、左右の上に君臨し皇帝までのぼりつめる。

今そこまで読んだ。

フランス革命とは、いったい何をどう判断していいのか

正直な話、さっぱりわけがわからない。

こんなにわけのわからない歴史は初めてで、

そもそもフランス革命に出てくる用語もよくわからない。

ただ、現代社会に起こる様々な問題のモデルケースとして、捉えることが出来るし、

ここから学ぶべきことが多すぎる。

何より、「なんでこんなことになってしまうの?」と、

人間がいかなるものか、人間を考える上で、フランス革命の意味は大きい。


レミゼラブルで、ジャンバルジャンは、貧困からパン1個を盗み19年も刑務所で重労働を課せられた。

パン1個手にすることの重みが伝わってくる・・・

私はもう少しフランス革命を理解しなければ、このままでは前に進めない。

何が情けないって、今まで自分がフランス革命をフランスの世界のことで自分とは何も関係ないと

スルーしてきたこと。

この歳まで私は何をやってたかと・・・


フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書)

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岩波ジュニア新書。

レビューを見ると、とても評判が良い本で、

大人にはなっても、脳みそがジュニアなので私はここから教わることにします。