人間の性


人は常に間違いを犯している。

そのことを自覚させてくれたのが原発事故だった。

震災以前、原発は私にとって対岸でしかなかった。

新聞やTVで取り上げていても、無関心だった。

政府がどうのこうのでなく、

そのことは、私自身の問題として受け止めなければいけない。

世界をみれば人口は益々膨れ上がり、

資源が枯れ逝く中、日本ばかりが石油を使っていいという話はない。

太陽のエネルギーを人間の手で作り出そう。

それが原子力で、

これがなんの危険性も無いものなら、これほどありがたいものはないし、

今まで、その恩恵を存分に味わってた。

今でも、安全な核があれば、世界はどれほど幸せになれるかと思ってる。

でも、人間が太陽を作るなんてことは、畏れを知らない、不遜なことだったのかもしれない。

自らの手では負えないものを扱ってしまったのだと思う。

でも、これが人間の性(さが)で、

こうならざる負えない性を背負ってるのも人間で、

悪いというなら、

人が生きているのも生命の欲。そのことさえ否定することになる。

人は欲をすべて失った時、死を選ぶ。

それも見てきた。

良くも悪くも、人は人の性の中で生きている。

すべて人間の性の中で起こること。


iPS細胞により様々な病気治療の可能性が生まれた。

人の寿命が130歳まで伸びるとも言われている。

また、不妊治療に効果がある反面で、

理論上、髪の毛1本から人が作れることになる。

そのことになんの畏れも抱かないのだろうか。

人は何歳まで生きたら満足なのか。iPS細胞で高齢化はますます進む。

iPS細胞で子供は作れても、どんどん製造するわけにはいかない。

今後社会はどうなっていくのかな。

原子力を考える今、iPS細胞がノーベル賞を与えられた。

山中教授はかっこいいと思う。

でも、それと同時にこのことに憂いも感じる。

病気が治ればいい。子供が欲しい。これは人の最小限の願いであり、

世界の人が健康で子供に恵まれたらよいと思うけど、

その願いは、その裏の何かまた別の新たな苦しみと引き替えなのかもしれない。

iPS細胞はこの先、原子力以上に問題を含んでいくものと思うけど、

社会の力でどのように運ばれていくか、これもまた人間の性としか言えない。


この前、本を読んでいて驚いたのは、

自然科学では『生物』の定義が、まだないという。

ということは、

極端な話、人間が生物だかどうだかも定かではない。

所詮、それほどのものなのだ。

そんなものが、根本が解決出来ぬまま、次々新しいものを生み出している。

どんな間違いが起ころうと当然としか言えない。

すべて人間の性。

いつの時も人間の性を避けて生きることは出来ない。


さて、選挙速報始まったのでみてきます。