孤独
私は小学校に上がる前から
わけのわからない思いで、胸が苦しくなる・・・そういうものを感じていた。
母の目の前で
「お母さんがこんなにそばにいるのに、私お母さんに会いたくて会いたくて、どうしょうもないの(:_;)」
そんな風に訴えても、母だって困ったと思うけど。
寂しさとはまったく違う、抱きしめられても満たされぬ思いで私は苦しかった。
これがどういうことだったか、この本を読んでわかった気がします。
人間は生まれてきた時には、母と自分の区別がない。いっしょくた。
そりゃそーだ。まだ、なーんの意識もないのだろうから。
それがある時、
自分と母親を別の個体として認識する。
なるほど。
その時から、人間は孤独というものと闘い始めるのかもしれない。
ひいては、それが虚無感に繋がっていくような感じがする。
私が母と一緒にいても、胸に広がる苦しさは、
母の胎内にいた時の一体感が失われてしまったことへの遥かなる慕情のようなもの
だったのかもしれない。
どんなに傍にいても、愛されていても、自分は常に一人であるという無意識の認識。
今はそんなどうにもならないような虚しさを、虚無感だと思っているけど、
多分出発点は、そこからなのではないかと。
どんなに幸せな中にあっても埋めることの出来ない虚無感は、
自我とセットなのでしょうね。
私は生まれてすぐ保育園に行ったせいか、親離れは早かった。
ひとりでいることも、へっちゃらだった。
お絵かきしたり、お人形で遊んだり、ひとりでいくらでも楽しく遊べた。
『ひとりでいる』ことはなんでもない。
でも『ひとりで在る』ということに身の置き所のない虚しさを感じたのだと思う。
子供には理屈がない。表現方法もない。
だけど、直感は確かだ。
人間は孤独の中で生きている。