シングルマン

今日観たDVD『シングルマン』で、主人公が『変身』を読んでる場面があってビックリした・・・

『変身』は昨日読んだばっかりだ。


『パートナーを事故で失くしたジョージ(大学教授)は、その哀しみが癒えず今夜自殺をしようと

覚悟をした途端、周囲に愛のあることに気付き、自殺を思いとどまる・・・』

みたいな解説だったから借りたけど、

パートナーって・・・

ゲイのお話だった。知らなかったよ。

観てみたら、想像していたものとは全然違った。

初めは薄ぼんやりした印象で、眠くなっちゃうかも・・・と思ってみてた。

シーンもゆっくりしていて、

いつも映画は(この場面もっとゆっくり見ていたのに)派の私が、ゆったり感じるくらいのカメラワーク。

それが、グィグィ良くなってくる。

まずは、出てくる男が皆気が狂うほどかっこいい。

そしてファッションもインテリアも車もその整え方も何もかも洗練されていると思ったら

監督は、グッチのデザイナーさんだったのね。

納得。

ディテールにこだわった上品で上質な作品。

哲学的なセリフ、官能的な場面にも卑猥さは無く、知的。

やはり映画は、監督さんの感性だとつくづく思う。

小物として『変身』を使うとこも渋い〜。

俳優さんたちも、もう演技とは思えない演技。自然すぎるほど自然にこの世界に溶け込んでる。

こうゆう映画は、好みが分かれると思うけど、

私は途中から引っ張り込まれた。


美しい男と男が感性で惹かれあっていくのは、切なく美しい。

主人公の「すべてが あるように ある」

このセリフは、このところ私がずっと考えていたことで、この言葉を聴いてとても嬉しくなってしまった。

すべてが あるようにある

美と哲学の大人の映画。

男と女で見るより、一人で見た方がいい映画だと思う。

孤独と苦悩を感じながら見るのだ。

孤独と苦悩から優しさが切々と伝わってくる。

『犠牲』も『変身』も『シングルマン』も太陽に向かって胸張って元気に生きている人より、

世の中が・・・太陽が・・・眩しすぎて生き辛いと感じる人の方が感じるものは大きいかも。