変身

変身 (新潮文庫)/フランツ カフカ
¥340
Amazon.co.jp

そうか・・・

これがカフカの世界なのか・・・そうか・・・そうか・・・

カフカを初めて読んだ。

『グレーゴル(主人公)は、朝目が覚めたら自分が巨大な虫になっているのを発見した』

なっていたんじゃなくて、なっているのを発見したのだ!

こりゃ大変。

親のこしらえた借金もある、妹をよい学校にいかせてあげたい、

セールスの仕事は苦痛以外何ものでも無いが、自分が稼がなきゃこの家は立ち行かなくなる。

なんだか思うように身体を動かせないけど、仕事に行かねば・・・・

もう無茶苦茶な話だ。

思うところはいろいろあるけど、

心とは、なんぞや。

そして、虫には心が無いとする根拠はなんぞや。

切なくなってくる。

そして、全て読み終わって思った。

グレーゴルは嫌だが家族の為に仕事に行く。それが自分の人生だから仕方ない。

朝も早いし、

あーぁ、今日も仕事か。行きたくないなー。

いっそうのこと、このまま虫にでもなっちゃえば、行かなくて済むんじゃない?

自分が突然虫になったと想像すると・・・・・

自分自身は仕事に行く気満々なのに、家族と会社の人に止められたのだ。

正当な理由をもって休むことが可能となる。

その先も、想像をすすめていこう。

自分は部屋に引き篭もるしかなくなり、

そして単なる厄介者になり、やがて家族に見捨てられる。

だが、自分が働けない事により、家族ひとりひとりが逆に生き生き働き出して、

この苦境を乗り越えようと、自分が養ってた頃より家族が皆希望の日を送っている。

ひょえーーーーーーーーーーー

んじゃ今の自分とはなんなんだ?自分の人生とは・・・・・・

自分が虫になったと想像して、見えてくるものがある。それが真実かどうかは別にして。

虫は最後、やせ衰えて死ぬ。

だけど、グレーゴルは想像だけで、きっと今日も朝早く起きて仕事に行ったと思うよ。

じゃないと・・・グレーゴル可哀相だもん。

カフカの世界はよくわからないけど、描写が丁寧で面白い。