変身
そうか・・・
これがカフカの世界なのか・・・そうか・・・そうか・・・
カフカを初めて読んだ。
『グレーゴル(主人公)は、朝目が覚めたら自分が巨大な虫になっているのを発見した』
なっていたんじゃなくて、なっているのを発見したのだ!
こりゃ大変。
親のこしらえた借金もある、妹をよい学校にいかせてあげたい、
セールスの仕事は苦痛以外何ものでも無いが、自分が稼がなきゃこの家は立ち行かなくなる。
なんだか思うように身体を動かせないけど、仕事に行かねば・・・・
もう無茶苦茶な話だ。
思うところはいろいろあるけど、
心とは、なんぞや。
そして、虫には心が無いとする根拠はなんぞや。
切なくなってくる。
そして、全て読み終わって思った。
グレーゴルは嫌だが家族の為に仕事に行く。それが自分の人生だから仕方ない。
朝も早いし、
あーぁ、今日も仕事か。行きたくないなー。
いっそうのこと、このまま虫にでもなっちゃえば、行かなくて済むんじゃない?
自分が突然虫になったと想像すると・・・・・
自分自身は仕事に行く気満々なのに、家族と会社の人に止められたのだ。
正当な理由をもって休むことが可能となる。
その先も、想像をすすめていこう。
自分は部屋に引き篭もるしかなくなり、
そして単なる厄介者になり、やがて家族に見捨てられる。
だが、自分が働けない事により、家族ひとりひとりが逆に生き生き働き出して、
この苦境を乗り越えようと、自分が養ってた頃より家族が皆希望の日を送っている。
ひょえーーーーーーーーーーー
んじゃ今の自分とはなんなんだ?自分の人生とは・・・・・・
自分が虫になったと想像して、見えてくるものがある。それが真実かどうかは別にして。
虫は最後、やせ衰えて死ぬ。
だけど、グレーゴルは想像だけで、きっと今日も朝早く起きて仕事に行ったと思うよ。
じゃないと・・・グレーゴル可哀相だもん。
カフカの世界はよくわからないけど、描写が丁寧で面白い。