ラストエンペラー

『最後の将軍』読んだので

DVD『ラストエンペラー』を見てみることにした。

中国の歴史はちんぷんかんぷんだなー。

この映画を観れば歴史が少しわかるかなと思ったけど、わからないあせる

1回目は、わからない部分が目に付いて面白くない。

2回繰り返して見て、ようやく・・・

と言うより、なんだろう・・・

すごく良く出来てる。

ラストにかけてが、たまらなくいい。

1回じゃ、何もわからなくて、

2回目になってジワジワ感動が押し寄せてきた。

長く心にとどまる作品になった。

2時間半という時間の中で、清の最後の皇帝溥儀(ふぎ)の生涯など

描ききれるものではないと思って見ていた。

でも、映画はそういうことは関係無い。

肝心なのは歴史そのものより、その中で人に訴えるものがあるかどうかだ。


印象に残るのは、ラスト近く、

拘置所の所長を助けようとする場面』

溥儀が10年間の拘置所生活から恩赦を受け、一市民(庭師)として暮らしていると、

自分が収監されていた拘置所の所長が今度は罪人として、引っ立てられてる所に遭遇する。

溥儀は3歳で清の皇帝となり、紫禁城で全ての人に傅かれる身でありながら、

自分の意志というものは持てず、門の外に一歩たりとも出ることの出来ない生活を送り、

その後は満州国皇帝になるも、それは形ばかりで全て日本軍の言いなりになるしかなかった。

そして第二次世界大戦後、ソ連抑留、中国で収監。その後解放され、植物園で仕事を得る。

溥儀は10年間の拘置所生活で、おしっこの仕方やら靴紐の結び方やら、

元皇帝に対し、哀れなほど乱暴な方法ではあるが、変わらねばならぬことの教育を施され、

元皇帝は一市民として、ようやくまともな生活が出来るようになる。

この拘置所所長を助けるという行為は

溥儀が自分の意志をもって行動した初めての行為ではないかと思う。

映画最初の方で「紳士とは?」と英国家庭教師に尋ねる場面があるが、

その答えがここにきてようやく実行されたことに、

この数奇な人生の修復にどれだけ長い時間を要したか感じることが出来る。

昨日まで裁く方の立場であった者が、今日には裁かれる身となる。

それは誰の身にも起こる。

当時の中国の国家の不安定さ、力で国を制圧させるその怖さと歪みがここに描き出されている。

中国だけじゃない、世界中が植民地政策やら戦争やらで不安定な時代であった。

助けようと試みる溥儀に対し、所長(以前は偉そうだった)のあきらめきった表情がたまらない。


そこには、人を人ともしない紅衛兵(少年少女の兵)の姿がある。

紅衛兵とは、なんじゃらほぃ。

その女子のトランス状態のような踊りも異様。

まるでナチスドイツのヒトラーユーゲントのようです叫び

少年少女に軍事的集団教育怖い。

ヒトラーユーゲントの中には、戦争が終わっても、考え方を改められない子達がいたそうです。

子ども達への軍事的?政治的?洗脳は罪深い。

溥儀もその犠牲者のひとりに過ぎない・・・


それから場面は、夕暮れに静かにたたずむ紫禁城のシーンとなる。

紫禁城を象徴するオレンジの瓦、そして空には雁だかカラスが飛んでいる。

この中には、何百年に渡って繰り広げられてきた悲しい歴史がある。

蒼穹の昴西太后)では、紫禁城はセットだったので

ただ美しいものとして映っていた。

でもこの映画は本物で、

そこには美しいだけでなく、哀しい古さがあった。そこに重みが感じられる。

荘厳な扉、支える大きな柱。広い床、それらがこの紫禁城の歴史をずっと眺めてきたと思うと

紫禁城故宮)に1度行ってみたくなった。

これは25年前の映画だけど、当時見ていたらここまでの感慨は無かったと思う。

ジョンローンがかっこ良すぎて溥儀のイメージに合わないとか

坂本龍一の音楽がいいとか

セリフが英語なのが違和感あるとか

悲劇の皇帝だなとか、そんな程度だったと思う。

そして2度と見なかったと思う。

この年齢になって見て良かった。

難を言えば幾つかあるとしても、25年前イタリア中国イギリス合作で作られた映画。

そう思うと、恐れ入り奉ります(笑)な感じ。

それにしても、中国の歴史はちんぷんかんぷんだあせる

受け取る力が未熟すぎる。ネットでこれを注文してみた。

この一冊で「中国の歴史」がわかる!―殷の文明、清の統一から激動の現代まで (知的生きかた文庫)/山口 修
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最近は、本を1冊読む間に3冊くらい買ってる感じです。本山積み生活、なかなか変えられません。