人と音楽

耳で考える ――脳は名曲を欲する (角川oneテーマ21 A 105)/養老 孟司
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養老先生の本はいつも脳みそをひっくり返してくれる。

「家で、本をただ目で読んでるのはキモチワルイ。」

そんなこと言ってくれるのは養老先生だけ。だから好き。

仕方なく最近は音楽かけながら本読んでる。

本当に集中していれば音も気にならないはずだけど、やっぱりうるさいもんはうるさいあせる

気付けば、私は音の方に集中しちゃってる(゜д゜;)

養老先生の本は、口述筆記だからポっと出の言葉は理解出来ない。

「動物は陸に上がった時に、カタツムリがついてきた。

ついてきたというのは、迷路から発生したわけです。」

ハァ?(゚Д゚)??? 

これは三半規管の話で、生物の進化で、水中から陸にあがって耳が出来たってこと。

魚は耳の機能はあっても、耳はないって話。

養老先生の話は想像力を駆使しないとわからない(笑)

1冊読んで7割理解する程度。

でも言ってる事は一貫しているので、他の対談を読んで視点が変わると理解出来ることが多い。

次の本を読むと、前の本のわからなかったところがわかる。

この本は特に好き。面白くてたまらない。

面白さというのは、意外性からの共鳴。

養老先生『生きていく時に基本になるのは目よりむしろ耳のほうでしょうね。』

ほほぅ?

生きてて1度も考えもしなかったことを、ごく当然のように言ってくれるから好き♪

見方を180度・・・ん〜感じ的には360度。転換すると、今まで濁っていたものがスッキリする。

そして世界のすべてがリンクされていることがわかる。


この本は、ジブリの作曲の久石譲との対談。

音楽についてというよりは、音楽を柱としての社会や人間についての本。

言ってることはいつもと同じ(笑)

音楽だって人間が作りだしたものである以上、結局人間の在り方、人間自身に他ならない。

この本の中の話ではないけど

リスト(作曲家、天才ピアニスト)は、当時の超アイドルだった。

コンサートで失神者まで出たというのだからビートルズとかそれらの類いだね。

いや、演奏中自分自身も失神してしまうっていうんだから、ビートルズどころじゃない。

今でもリスト以上のピアニストはいないといわれてる。

でもある時、

(自分は今なにをしているんだろう。どこにいるんだろう。聴衆の拍手がいったい何になるんだろう。)

と悩み出す。

ホントにね、

結局はそうなんだと思う。

リッチーブラックモアもそうだけど、

『売れる音楽』というのは他人との共鳴による感動であるのだけど、

その音楽が、自分自身とは共鳴しなくなってしまったんじゃないかな。

リストは、最終的に『無調』に辿りつく。

無調って・・・

音楽は理論なんだけど、そういう理論の無い。好きな音を使う音楽。

要は、

前衛的な・・・なんだかわかんない音楽。

その突き詰めたところは、雑音なんだけど。

リッチーがギター踏んだりして雑音になるけど、それがそう。

あれは、ドラムやベースが毅然とした論理で奏でてる上で、その音を感じながら

ギターで出来るところの雑音を奏でている。

それがちゃんとオルガンと融合している。

だから全体の調和として音楽として成り立っている。そこに感動をするわけ。

理屈はわからなくても、私はそれを音の感性として聴いてた。

たとえオルガンでもぶっ叩けば、それは独自の打楽器じゃん!みたいに考えればいい。

ラップでレコードをキュキュキュするのも同じ。

きゅきゅきゅだけなら雑音。でもリズムとの融合を感じられるから音楽になってる。

そう考えると、リストはもっとも前衛的。

坂本龍一の世界を100年以上も前にやってる。

坂本龍一ドビュッシーのことを『それまでの音楽をグジャグジャにしちゃった人』という。

ドビュッシーは無調の音楽の先駆者。長調とも短調ともわからない世界を確立した。

坂本龍一ドビュッシーの影響受けてる。

でもリストはそれ以前に試みてた。

世間には認められなかっただろうけど。

無調、好きに音を使えるというのは、簡単なようで

実は、唯一の色(音)を選択しなくてはいけないから難しい。消去法がない。

例えば、赤を置いたら隣は、白で安定か、ちょっとズラしてピンクにするか、反対に黒を置いてみるかという

固定観念をとっぱらって、

無秩序を横一列にずっと並べて、全体で眺めた時に人から認められるものにするって大変なこと。

シェーンベルク月に憑かれたピエロ』とか聴くと無調がわかると思う。

めちゃ不安定(゚_゚i) どこへ連れていかれるかわからない世界。

リストはすごいな。

カンパネラの聴き比べがしたーい音譜

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