人間はもういいですよね
- 亡き園山俊二さん(マンガ家)との思い出を、ムツゴロウさんが書きとめています。
二人で草原を歩いた。野の花がたくさん咲いていた。
園山さん「その林から、牝の熊が出てくる。
そして、僕も熊になって、一緒に山に入って行けたらいいでしょうね。
僕は最近、恋愛がしたくなりましてね、いえね、相手は人間でなく、人間はもういいですよね、
カブト虫とかキリギリスでもいいんですよ。」
そう話す彼の顔を見ると、いつものように笑って、穏やかな表情だったのが、
目の端から涙がぽろんとふくれ、水滴になったらそこから直接地面へと落ちていた。
頬を伝って落ちないのが不思議だった。
若い頃は、この文章を読んでもなんとも感じなかったけど、
今はしみじみと伝わってくる。
本能の恋愛いいな。
一緒にいるだけでいい。もう会話も微笑みもいらない。
生に執着もせず、なすがままに毎日を過ごし、
一匹が死んだら、その傍らでもう一匹も死んでた・・・みたいな。
シンプルがなにより尊く思える。
園山俊二のこの言葉、なかなか言えるものじゃない。
それも見守るムツゴロウのこの文章も、なかなか書けるものじゃない。
優しい。そして切ない。
歳を重ねた男2人、北海道の草原でこんな会話をしてるって
男女の愛が及ばぬところの純心さを感じてしまう。
人間性の尊さかな。
男性は女性よりロマンチストだと思う。
愛の感性が高いじゃないかな。
私は至って現実的だから、こういう人たちに憧れてしまいます。
ペエスケ大好きだった・・・