大切なもの。

目に見えないけれど大切なもの―あなたの心に安らぎと強さを (PHP文庫)/渡辺 和子
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日々起きる嫌なことは『小さな死』


それは、いつか迎える『大きな死のリハーサル』

いつか

いかなる薬も効かなくなる日が訪れる。

否応なく受け入れなくてはならない死が誰にでもくる。

今ある毎日は、

受け入れの準備期間。

それを

『自我に死ぬ勇気』と仰られる。

生きていくうちには、

自分を殺していかなければいけないこともある。

それも勇気。

そうして勇気を蓄えていく。

『老いることは、辱めを受けること』

なんと悲しい言葉だろう。

でも実際、

身体は利かなくなり

周りの者たちに迷惑をかけなければ生きてゆけなくなる。

老いゆくほどに謙虚さを求められる。

謙虚な人間になれるか

辱めを素直に受け入れることの出来る人間になれるか

今ある様々な苦しみは、

この先に訪れる哀しみに耐える力を授けてくれているのだと思う。


著者:渡辺和子

父は、ニ・二六事件で殺害された渡辺錠太郎教育総監

目前で目撃した和子(9歳)の記憶によると、機関銃掃射によって渡辺錠太郎の足は骨が剥き出しとなり、

肉が壁一面に飛び散ったという。


決して自分の思うままにならない世の中を生きてゆくためには、


他人に甘えないこと、


頼らないこと、


不自由に耐えること、


倒れても倒れても起き上がることの大切さを


母親から厳しく躾けられました。


「お父様のお名前をはずかしめることだけは許しません」

背景のある言葉や思いには重みがある。温度がある。

『灰にならないものを大切にしていきたい。』

著者のこの言葉こそ、私にとって灰にならない大切なもの。

本は灰になっても

思いは灰にはならない。

胸に深く深く刻んでおこう。